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2023/04/01

化学物質の自律的管理 ~新たに始まる確認測定の概要~


令和6年4月から、化学物質のばく露の濃度の基準値を確認測定により遵守することが必要になります

「令和4年度化学物質管理に係る専門家検討会」の報告書が公表されました。昨年5月に公布された新たな化学物質管理の法令改正により、令和6年4月から新たに化学物質のばく露の濃度の基準値を確認測定により遵守することが必要になります。

1.現状の化学物質規制の体系

・現在は、特別則の対象の123物質について、作業環境測定や特殊健康診断等が必要です
・その他に、表示・通知対象の674物質について、リスクアセスメントが義務づけられています(2022年2月の改正により、2024年4月から903物質に増加します)

 
現状の化学物質規制の概念図
 
【 現状の化学物質規制の概念図 】
 

2.新たな化学物質規制の体系

・5年後を目途に、リスクアセスメントの対象が約2,900物質まで増加します
・2,900物質のうち、約800物質については、濃度基準値 (図ではOEL) が新たに定められ、労働者のばく露を濃度基準値以下にすることが義務づけられます
 

新たな化学物質規制の概念図
 
【 新たな化学物質規制の概念図 】

 

3.確認測定とは?

800物質のばく露の程度の確認は、クリエイトシンプル等で実施します (リスクアセスメント)
・その結果、濃度基準値の1/2を超える場合は、個人ばく露測定等により、ばく露が濃度基準値以下であることを確認 (確認測定) する必要があります (令和6年4月から義務化)
 

ばく露の程度確認方法の概念図
 
【 ばく露の程度の確認方法の概念図 】

 

4.確認測定の方法

・濃度基準値には、8時間基準値と短時間基準値が定められます (作業環境測定のA測定とB測定のように)
・濃度基準値を超えた場合は、環境改善等の措置と半年後の再測定が必要です
 
① 8時間濃度基準値の場合
・同じようなばく露が予想される作業グループから2名以上を選ぶ
・ばく露のない時間を含めて8時間の個人ばく露測定を実施し、8時間加重平均値 (日の平均ばく露濃度)を算出する
2名以上の値の中で最大値を濃度基準値と比較する
 
② 短時間濃度基準値の場合
・最も高いばく露を受ける1名について15分間の個人ばく露測定を3回実施する
 

5.その他の注意点

・濃度基準値は労働者のばく露の基準値です (呼吸用保護具の内側の濃度)
・よって呼吸用保護具を着用した作業の場合、ばく露測定によって求めた値を 呼吸用保護具の防護係数で割った値を濃度基準値と比較する必要があります (溶接ヒューム測定と同じ考え方)
・マスクを着用しない作業では、ばく露測定によって求めた値を濃度基準値と比較します
123物質の特別則による規制は、当面の間、 継続されます ( 作業環境測定はこれまで通り実施)
・また、 123物質については、当面の間、濃度基準値は設定されません(確認測定の対象外)
・毎年 100200物質程度の濃度基準値が設定され、5年を目途に 800物質となります
・そのうち、 R4年度分の基準値と測定法、 R5と6年度の追加分の対象物質リストは、厚労省の HPに公開されています
 
厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/content/11305000/001056057.pdf